不幸にして大切な歯を失った場合、今までは周囲の歯を削り被せて繋ぐブリッジによる治療か可撤式の義歯による治療しかありませんでした。インプラント治療では、インプラントと呼ばれるチタン製スクリューを歯の失った部位の顎の骨に埋め込み、周囲の健康な歯を犠牲にすることなく形態と機能を回復するものです。
ここ2,3年でインプラント治療は急速に普及して参りました。
私がインプラント治療を始めた2000年、11年前には、公然と批判される歯科医も多く、患者様にもなかなか受け入れて頂けませんでした。
ブローネンマルク・インプラントシステムから始まったインプラント治療は、インプラント体の表面がMirror surfaceの第一世代から、酸処理されたRough surfaceの第二世代と進化して来ました。
最近の研究で、骨結合が獲得され機能しているインプラント体でも、骨接触率は50%程度しかないという事が判明しております。これは、チタン製インプラントが製造直後から空気中の炭素化合物により表面が汚染され、化学的性質が変化し、超撥水性となる:チタン・エイジングが原因であることが米国カリフォルニヤ州のUCLAの小川隆広教授によって解明さました。小川教授の研究チームはこのチタン・エイジングを特定波長の紫外線を照射することで、チタンが本来持つ生体親和性を回復できる事を発見しました。
当院では、この紫外線照射装置・保管庫をいち早く導入することで、より安全で安心なインプラント治療を患者様にご提供する事が可能となっております。
・100%骨結合の獲得
・チタン・エイジング現象を改善
・インプラント表面での骨細胞の成長・分化速度が3倍に加速
・治療期間の短縮
・インプラント生存率の大幅な向上
2009年に世界的に権威ある生体材料雑誌「Biomaterials」(IF=7.365)に衝撃的な発表がなされました。それが、「チタンの時間的な劣化現象」(チタンエイジング減少)です。この現象を発表したのは米国University of California Los Angeles(UCLA)校 歯学部終身教授位小川隆広先生でした。
小川先生によると、チタンはこれまで表面性能などは変わらないものとされてきました。しかし、表面を加工してからすぐ(新鮮)の状態では活性を持っているが、使用せずに保管した場合、時間経過とともに表面の活性は減少するというものであります。
明確であるのは、表面の濡れ性(水とのなじみ)です。表面を加工して新鮮な状態では超親水性(水とのなじみが良い)の状態ですが、表面を加工してから1ヶ月保管すると表面に疎水性(水とのなじみが悪い)になってしまうというものです。また、表面が新鮮な状態では、表面の炭化水素(二酸化炭素など)の付着は少ないが、時間が経つにつれて炭化水素の割合が増加していきました。
そしてもっとも重要なのは、これらのインプラントを動物に植え込んだ場合、加工直後の新鮮面ではインプラントの周りに約94%の骨が接触し(たくさん骨が出来ている)、古いインプラントでは50%程度しか示しませんでした。
チタンエイジング:インプラントの素材であるチタンが空気にふれて劣化すること劣化したチタンは、血液をはじき、骨結合を妨げることインプラント治療を行う上で、絶対に必要な処理です。
メーカー種類によらず、インプラントが水を弾くのが判る
チタンエイジング現象の回避方法として発見されたのが、ある特定領域波長を含む複合波長の紫外線照射法です。
この方法は、現在まで各インプラントメーカーが行ってきた表面改良技術とは違い、全てのチタン製インプラントであればそのものの持っている性能を最大限引き出すことが出来るということであります。
この注目度は、2009年5月17日に共同通信から発信され、全国紙へと広がったことからも期待されています。
この紫外線応用によって、チタンエイジング現象であった表面の濡れ性は、疎水性から超親水性へと変化していく。表面の濡れだけではなく、炭化水素の化学的汚染や、その他の効果によってチタンエイジング現象を再生(回復)できることが分かりました。
そして、インプラント成功に必要なインプラント周りの骨の違いを見てみると、数ヶ月経過したインプラントにこの紫外線を照射し、直後に体に植え込むと、インプラント周囲には98%を越える(ほぼ100%)骨が出来ていることが確認されました。
【UCLAの小川教授との出会い】
小川先生と私との出会いは、私がインプラント治療を始めて間もない2001年1月にフロリダで行われた3iインプラント社主催の国際会議に出席した時から始まります。世界的な臨床家に交じり、小川先生が流暢な英語で堂々と基礎研究を発表されていたのを今でも鮮明に覚えております。日本からの出席者は10数名だったこともあって、講演後に当時の研究テーマについて特別に講義して頂きました。 それ以降アメリカ歯周病学会(AAP)やインプラント学会(AO)に参加する度に、UCLAを訪ね研究についてご教授頂いております。
治療前の状態 | ・抜歯同時のインプラント埋入 |
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治療後の状態 | ・前歯の領域ではより自然な仕上がりが治療の基準になってきております。 歯周組織の安定を長期に保つために、診断・経験技術の治療の総合力が必要です。 また定期検診は必要です。 |
治療前の状態 | ・歯根破折による骨の吸収像
・骨の吸収エリアは大きいため増骨手術(GBR)が必要である |
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治療後の状態 | ・術後2年経過インプラント周囲の骨も安定している ・インプラント埋入位置より自然で美しい外観が得られている |
Nobel biocare社のシステムを使用した 治療費は1本当たり40万円~45万円+税が平均的です。
患者様の状態によって、治療費は若干違いがございますので、個別にご相談させて頂いております。
2014年から治療費を抑えるために、Nobel Biocare 社以外のシステムを導入します。
治療費は、30万円+税の予定でございます。
治療部位によっては、使用できない場合がありますので、詳しくはご相談ください。
GC:Planmeca製 CTです。5年前に導入しましたデジタルパノラマをCTへバージョンUPしました。CBCTテクノロジーを搭載したCT撮影が可能です。上下顎を3ブロックに分けて撮影できるため、必要な部分だけ撮影できます。今まではCT撮影というと、インプラント治療のための術前診断のためがほとんどでした。しかしソフト・ハードウエア両面の進歩により画像解析機能が飛躍的に向上し、従来の2次元のX線写真では判らなかった歯周病による骨吸収状態や、歯根の先端に生じた病巣の状態を3次的に診断することが可能となりました。被曝線量も胸部X線写真と変わらない程僅かです。CTは保険適用外となります。
撮影料 | 1ブロック 当たり 5,000円+消費税 |
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インプラント治療の場合は、3次元の骨の厚みのデータが絶対に必要になります。通常の2次元のX線写真では不十分です。
より安全に、正確にインプラント治療を行うために、CT画像診断は欠かせません。
またCT画像を基に、術前のシミュレーションを行うだけでなく、ヒューマン・エラーをできるだけ減らすシミュレーション通りに手術を行うガイド手術も行うことが出来る様になりました。
手術範囲を最小限にすることで、内出血、腫れ、痛みなどが少なくなります。
インプラント周囲炎の可能性があるため定期的メンテナンスが必要です。
・お口の歯型を作成し、噛み合わせ状態を診断します。
・X線写真撮影を行い、画像診断を行います。
・現在のお口の中の状態をご説明いたします。
・必要な治療の内容・治療費概算・治療期間をご説明いたします。
・インプラント治療中、治療後の注意点などもご説明いたします。
・インプラント治療を行う前に必要な歯科治療を行います。
・CT撮影を行い、さらに詳細な画像診断、術前シミュレーションを行います。
・インプラントを歯槽骨に埋め込む手術を行います。
・ご自分の骨の状態によっては、増骨手術を行う場合がございます
・麻酔科の専門医による静脈内沈静法を併用して安全に手術を行います。
・インプラントと周囲の骨が結合するまで3~6ヶ月を要しますので、X線写真を撮影し経過を見ていきます。
・この間、必要な歯科治療を行います。
・経過観察期間終了後に歯肉を貫通させる2回目の手術を行います。
・歯周組織の状態により、歯周組織の健康度を上げる処置を行います。
・インプラント周囲の歯周組織の安定を待ってから被せる治療を行います。
・お口の中を出来るだけ清潔に保つためにホームケアは十分ご注意ください。 ・インプラント周囲の清掃もご自分の歯と同じように行ってください。 ・3~6ヶ月毎に当院で定期的検診を受診ください。 ・インプラント周囲には神経が無いため就寝時に喰いしばり・歯軋りによるダメージを受けることがあるためマウスピースを装着ください。